Runner.01 白米 良

WEB作家がリレー形式でインタビューを繋いでいく本企画。
その第1回を飾るのは、『ありふれた職業で世界最強』を手がける白米 良。
誰も知らない彼のプライベートな側面と、作家としての一面。
その両方に本インタビューは迫る!

――普段明かされていない白米さんのパーソナルな部分から話をお聞きしたいと思います。差し障りのない範囲で現在のお住まいを教えてください。
白米
静岡県ですね。
今まで三重県、大阪府、鹿児島県、愛知県に住んでいたこともあるのですが、今は静岡県に落ち着いています。
――かなり全国を転々とされていますね。ちなみに、その中で特に思い出深い県はありますか?
白米
鹿児島県です。
桜島の火山灰には少し困りましたが、どんなお店に入っても安い値段で美味しい物を食べられたので。
食がすごく自分に合っていたように思います。
ちょうど『ありふれた職業で世界最強(以下『ありふれた』)』を書き始めたのも鹿児島にいたころだったので、作品のオファーをいただいたとき、現在の担当編集さんが鹿児島にまで来ていただいたのも良い思い出になっています。
――作品のオファーを受けたときの、率直な感想はどのような感じでしたか?
白米
まさか! というような感じでした。
驚きと期待感、そしてうれしさが入り混じったような感情を抱いたのを覚えています。
――その感情が実感に変わったタイミングは?
白米
何段階かあります。
まずは担当編集さんが鹿児島に来たとき、次は担当いただけるイラストレーターさんがたかやKiさんに決まったときですね。
たかやKiさんのイラストはずっと好きで、イラストを担当されていたライトノベル作品も持っていたのですが、あの方に描いていただけるんだ! と実感もそうですがうれしさもひとしおでした。
――では次に、白米さんの趣味を聞かせてください。
白米
執筆と読書とバイクでしょうか。
――白米さんの職業柄、執筆と読書というのは想像していましたが、バイクという答えが出るとは思いませんでした。
白米
高校生のころに原付の免許をとりましたが、大学に入って普通二輪免許をとったんです。
それから趣味になっていったような感じで。
バイクで走るとよい気分転換にもなりますし、クラッチを握ってギアをチェンジした際の操作感とエンジン音が好きなんです。
――ちなみに愛車は?
白米
今乗っているのはKAWASAKIのNinjaです。
大学時代は同じくKAWASAKIでシルバーのZZR400に乗っていたのですが……。
――故障してしまったのでしょうか?
白米
いえ、母親が売ってしまい……。
鹿児島に引っ越したとき、持って行けなかったので実家に置いていたんです。
そして帰省した時に見当たらなかったので、母親に聞いてみると「大きくて邪魔だったので売った」と。
「えー!」という感じでした。
――新車の頭金ぐらいの金額にはなりましたか?
白米
まさかの0円でした(笑)。
なら残しておいてよ! と当時は思いましたが、今でも忘れられないエピソードですね。
――なかなか悲しい思い出ですね(笑)。他に、ご家族にまつわる面白エピソードなどありますでしょうか?
白米
母親について言うと『ありふれた』の書籍化のオファーがあったときも報告をしたのですが、母親は半信半疑な感じで「あんた騙されているんじゃないの!?」と(笑)。
あと、書籍化の報告はしましたが、ずっとタイトルは伏せていたんですよ。
やっぱり恥ずかしくて。
タイトルを報告したのは第3巻ぐらいまで刊行した後でしょうか。
すると正月に帰省した際には親戚にそのことが伝わっており、さらにはなぜか両親の会社の方にまで広がっていたので、顔から火が出そうでした。
――WEB作家でもやはり“身バレ”はあるんですね(笑)。次にWEB小説を書き始めたきっかけをお聞きしてもいいでしょうか?
白米
一番はストレス発散のためですね。
中学生・高校生のころから本は好きでずっと読んでいました。
そして大学院時代、まぁ、いろいろストレスが溜まっていまして(笑)。
リフレッシュも兼ねて、ある日偶然出会った「小説家になろう(以下「なろう」)」で最強モノを書いてみようと思ったんです。
「なろう」に出会う以前に自分が読んでいた作品は、キャラクターが徐々に強くなっていくような作品が多かったのですが、「なろう」では最強モノが多い。
それがすごく新鮮で、作者の方も楽しそうで、自分も書いてみたい、と思ったわけです。
――本がお好きとのことですが、特に好きな作品は?
白米
『魔術師オーフェン』シリーズと『トライガン』、『血界戦線』『魔法先生ネギま!』などですね。
『魔術師オーフェン』シリーズは、主人公であるオーフェンのカッコよさはもちろんのこと、彼の強さ、出てくる魔法、世界観も非常に好きです。
僕が人生で始めて読んだライトノベルということもあり、深く印象に残っています。
――『トライガン』はいかがですか?
白米
『トライガン』はアクションシーンにすごく惹かれました。
あと、なんと言っても登場人物がとても好きで。
中でもニコラス・D・ウルフウッドが好きです。
主人公のヴァッシュと異なり現実的な思考をするキャラなので、度々ヴァッシュと衝突するところはあるのですが、2人とも根っこの部分が同じなので、衝突しつつも互いに認め合うところはある。
最後には背中を預け合って共闘し、そして笑いながら死んでいく……。
その姿がとても印象的で、マンガを読んで泣いた初めての作品かもしれないです。
――『血界戦線』が好きな理由は?
白米
『血界戦線』は作品の世界感も好きなんですが、キャラクター、特にクラウス・V・ラインヘルツが大好きで。
彼の強さ、紳士的なところ、醸し出される渋さ、高い知性。
それらにすごく惹かれます。
――『魔法先生ネギま!』は?
白米
キャラクターが好きなのはもちろんのこと、世界観、描かれるアクションシーン、そして設定ですね。闇の魔法や、呪文の詠唱などがすごくカッコよく、自分の中で強く心に残っている作品です。
――小説のお話に戻りますが、『ありふれた』シリーズは各巻すべてボリュームがあり、執筆作業も大変なように感じます。
白米
特に大変さを感じたことはないですね。
物語を書くこと自体が、僕の趣味であり楽しみなので。
一度集中して書き始めると、楽しいからこそ没頭して書き続けられます。
――集中力が途切れてしまった時のリフレッシュ方法は?
白米
ファミレスに行ってコーヒーを飲んだり、バイクで走ったりすることでしょうか。
外の空気を吸うとリフレッシュできますね。
ファミレスには一度訪れると3~4時間ぐらいいることが多いんです。
1時間ほどリラックスをして、集中力が回復してきたら持参したノートパソコンを取り出し、執筆作業を再開。
また集中力が途切れてしまったら別のファミレスへとはしごをして、という感じです。
主にガスト様、長時間居座ってすみません。
居心地が良いもので……。
一応、居座ってる間もちょくちょく注文しているので、ご勘弁ください。
――では作品のアイディアが閃くのも、ファミレスにいる時やバイクで走っているときでしょうか。
白米
いえ。 アイディアが閃くのは、ほかの作品や映画とかを見ているときです。
そこからインスピレーションを受けることが多いです。
あとはアイディア捻出しよう! と決め、自宅で思案をしているとき。
僕はアイディアを捻出する際は、とにかく部屋の中を歩き回るんです。
こうぐるぐると。
そして思いついたら、壁にあるホワイトボードに書いていって。
――ではそんなふうにアイディアを捻出しながら、現在4月25日に発売される『ありふれた』第8巻の原稿を制作中だと思いますが、本巻の見どころは?
白米
いよいよ元の世界に帰るための手段を、ハジメが見つけることになります。
そういう意味では、『ありふれた』の物語の到達点が見えてくる最新刊になるかなと。
またとあるヒロインが、ユエに続いて、遂に、遂に! ハジメの特別に~という展開が描かれることになります。
既刊に比べ恋愛色が少し強くなりますので、各キャラの心情の変化なども楽しんでいただければと思います。
――貴重な情報をありがとうございました。作品のいちファンとして、発売日を楽しみに待っています! ちなみに、原稿を仕上げ終わったあと。白米さんはどのように気分転換をするのでしょうか?
白米
定番なのは一日中映画を観ることです。
美味しい食べ物や飲み物を用意して、マッサージシートを敷いた座椅子に座り、観れていなかった映画を楽しむ。
それが一番の気分転換ですね。
――好きなものを食べながら好きなことを、という感じなのですね。普段から食事には気を遣っていたりするのでしょうか?
白米
そうですね。
特に締め切りが迫ってくるとファミレスを巡ることになり、必然的にカロリーの高い物を口にしてしまうので、そのぶん普段はなるべくヘルシーなものを食べるようにはしています。
代表的なものですと鶏肉。
鶏肉をラップに包んで、朝に炊飯ジャーへと放り込んでおくと、お昼ごろにはコンビニで売っているようなサラダチキンのようになるんです。
それをサラダと一緒に食べたりとか。
あと、サーモンサンド。
むしろ、サーモンサンドだけでいいかもしれない。
サーモンサンドがあれば、大体のことは解決すると思います。
――ほかに何か健康維持のために続けていることは?
白米
ちょっとした筋トレとジョギングです。
お仕事のない日は運動で汗を流してお風呂に入り、お風呂のあと映画や「ニコニコ動画」などを見てのんびり。
そして運動の心地よい疲れで布団に入ってぐっすり、というのが自分にとってよい息抜きになっているのかなと。
――ちなみに「ニコニコ動画」ではどんな作品を見ているのでしょうか。
白米
MMD動画です。
ふみ狐さんが投稿している『アオゾラの騎士』という作品が好きです。
戦闘機乗りたちの空での戦いが描かれているのですが、登場するキャラクターたちが全員ぶっとんでいてノリも良く、掛け合いがすごく面白いんですよ。
――ほかには、たとえばWEB小説で注目している作品はありますか?
白米
今「なろう」で連載されているもので言うと、彩峰舞人先生の『死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く』でしょうか。
「女性主人公で最強モノ」そして「戦記モノ」という僕の好きな要素がモリモリなので、楽しく読ませていただいています。
ほかにも北山結莉先生の『精霊幻想記』。
また、まいん先生の『食い詰め傭兵の幻想奇譚』は主人公とヒロインとそのやり取りが好きでずっと読んでいます。
――ありがとうございました。では最後に、作家・クリエイターを目指す方たちにメッセージをお願いします。
白米
先ほどお話しした「ニコニコ動画」や「小説家になろう」など、今は作品を投稿できる場が数多くあって、作品を表に出すチャンスがたくさんあると思います。
初めてそういった場に作品を投稿する際、すごくドキドキして、アップをためらってしまう人も多いと思いますが……とにもかくにも、まずは思い切って、何も考えず飛び込んでみてはいかがでしょう?
ひとつでも多くの物語を、ひとりでも多くの作者さんが世に出してくれること自体、いいことだと思います。
あとは野となれ山となれ! くらいの気持ちで勇気をもって踏み出してみてください!
Profile

白米 良 しらこめ・りょう

作家。『ありふれた職業で世界最強』を手がけている。
最新第8巻、およびドラマCD付き特装版が2018年4月25日に発売される。
https://www.amazon.co.jp/dp/4865543082